サン・ピエトロ広場は、オベリスクを中心にすえた円形の広場であり、その周りを284本の大きくて立派な柱が並ぶ回廊に囲まれている。

回廊に入ると、太陽の光がさえぎられ、さっきまでの暑さがうそのように、心地よい風が吹きぬけ爽やかな気候になる。1本の柱のところに崩れるように座り込んだ。いくら暑くても日陰に入ると途端に涼しくなるので、湿気が少ない暑さは助かる。
暑さの中、長時間歩いてしまったので、かなり長い間そこから立ち上がることができなかった。そばには私たちのように、疲れて一休みしている観光客の人たちがけっこういる。近くで休んでいる親子の、目のくりっとして、西洋の絵の中に出てきそうな天使のような顔をしたよちよち歩きの子どもが、私たちに向かって手を振ってきた。あ〜、私は今外国にいるんだなって思った。
やっと疲れもとれ、サン・ピエトロ寺院の中に入ってみることにした。入り口にはものすごい人の列ができていた。それもそのはず、寺院の中に入るために、空港でするようなX線での荷物検査があるのだ。ガイドブックによると、荷物だけでなく服装の検査もあるらしい。ノースリーブやミニスカート、短パンなどの肌を露出した服装では入場できないらしい。
私たちは、荷物も服装も引っかかることなく無事に入場できた。事前に内部の構造を特に調べずに入ったので、どこに何があるのかさっぱりわからない。ただ、サン・ピエトロ寺院のクーポラ(丸屋根)からの眺めは素晴らしい、と人から聞いていたので、まずクーポラに登ろうとした。ところが、クーポラへのエレベータ前にはどこまで続いているのかわからないくらいの列があり、それをみてあっさりあきらめた。景色をみるために一体何時間待てばいいのかさっぱりわからないからね・・・。
クーポラをあきらめ、人の流れにつられるように寺院の内部へと入っていった。そして内部に入ってみて私は、ある意味カルチャーショックみたいなものを受けたのである!まず、内部は思ったよりも広かった。そして何より全てが豪華なのである!これは見た人しかわからない豪華さである。天井が高く、壁も天井もとても美しい装飾で覆われている。それにあちこちに大きくて、美しい宗教的な彫像が飾られたりしている。そして、寺院の奥の方では、高い天井の窓から、これまたうまく光が取り入れられていて、その光がさらに荘厳な雰囲気を演出しているのだ。「う〜ん、すごい」とうなってしまうしかない。この建物をつくるために、一体どれだけの時間とお金と人手がかかったのだろう、とため息が出てくるようなスケールであった。さすがカトリック教会の総本山だけある。サン・ピエトロ寺院をみてカトリック教会の力を思い知った気がした。

入り口を入って右側のほうに、ミケランジェロのピエタ像がある「ピエタの礼拝堂」がある。ヴァチカンに行く前から、これは絶対見たかったのでさっそくピエタの礼拝堂に行ってみた。ピエタの前はやはり人が多く、沢山の人がピエタの写真をとったりしていた。

思ったよりもこじんまりした像であったが、その美しさは噂通りであった。大理石で作ったとはとても思えない、線のなめらかさ、人のやわらかさが感じられる芸術品である。ミケランジェロ25歳の作品だという。さすが天才、としかいいようがない。私は、その年をとっくの昔に通り越したが、当然だが芸術作品一ついまだに生み出していない(くらべるまでもないか・・・)。
サン・ピエトロ寺院の内部にすっかり圧倒され、お腹いっぱいになったので、今日はこのくらいにするか、と外に出てきた。寺院の外では、衛兵が立っている所もある。ヴァチカン市国内の警備は、伝統的にスイス人衛兵に任されているのだという。なぜ、スイス人?と思ったが、その後本田健さんの『スイス人銀行家の教え』という本で面白い一節を読んだ。「イタリアのヴァチカンを知っているだろう?あそこを警備しているのはスイス人の衛兵なのだよ。そして、そのお金を保全しているのも、スイスの銀行だ。スイスはもともと、安全を売る伝統があるのだね」という一節だ。スイスの歴史を考えると、なるほどな〜、という感じがした。旅行とはまったく関係ないけど、本田健さんの本はとても面白いので、ぜひ一読を(^^)。
ついでの情報だが、ヴァチカンにある公衆トイレ(もちろん有料だが)はとてもきれいで安心して入ることができる。
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