サン・サルヴァトーレ教会を出てまた山を下り、フィレンツェの街中にもどることにした。途中、庭園のようなところに紛れ込んでしまい、中々出口にたどり着かずまいったが、そこもまたバラの花を中心とした花々であふれており、とても美しいところであった。そこは地元の人に人気なのか、芝生の部分では沢山の地元の人らしき人々がくつろいでいるのをみかけた。中には日本庭園らしき一角もあり、灯籠なども置いてあった。

麓まで降りてくると、もう夕方になっていた。いくらフィレンツェの街は小さいと言えども、一日中歩きっぱなし。しかもかなり急な坂道も登ったり下りたりしたので、へとへとに疲れてしまった。どうにかフィレンツェの中心まで戻り、夕食をとろうとしたが、ローマでもそうであったように、体の疲れのため胃腸までも疲れてしまい、どうにもこうにもこってりとおも〜いイタリア料理は食べる気がしなくなっていた。日本にいるなら、お蕎麦やおかゆでも食べたい気分である。
二人でどうしようか悩んでいる時、ちょうど中華料理屋の近くを通った。そして、不本意ながらつい、ふらふら〜っと中華料理屋に入ってしまったのであった。中華料理もこってりしているではないか、と思う人もいるだろうが、私はこの時どうしてもご飯などの日本でよく食べるものを食べたかったのである。
今までの私なら、外国で日本料理やましてや中国以外の土地で中華料理などを食べることは絶対になかった。その土地でのおいしい料理を食べるのがモットーの私である。なのに、なのに、今回の私は違った。このことは二人の秘密(誰に対しての?)にしようということで、自分たちに中華料理を許したのであった。
中に入ると、驚いたことに中国人が「こんにちは」と日本語で迎えてくれた。よっぽど日本人の観光客が多いのであろう。お店の中はまだあまりお客が入っていなかったが、私たち以外もみな日本人であった。なんだか気まずい感じである。イタリア料理は食べてくなかった私だったが、メニューに並んでいる普段食べなれている餃子やビーフンという文字を見ると食欲が戻り、あれもこれもと頼んでしまった。
結局、蒸餃子、海鮮ラーメン、ビーフン、ふかひれスープ、炭酸水(かなり大瓶)を頼み全部で21ユーロ。イタリアのレストランにしては安い方であった。味の方は、何と言うかとても変わった味で、ラーメンも日本で食べるものとは大分違った味わいであった。
麺もうどんのように太く、スープも何となく酸っぱいといった感じであったが、それはそれでけっこうおいしいものであった。久しぶりに食べる中華のおいしさに感動し、やはり私はアジア人であることを実感したのであった。連日の疲れで弱っていたお腹も、何だか落ち着いたような気がした。イタリアで中華料理を食べる、という不本意な夕食ではあったが、疲れた身体には東洋的な食事がとても嬉しく感じた。
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