ドゥオーモのクーポラの入り口に行ってみると、すでに何人かの人がいたが、10人もいないくらいだ。これならすぐ入れる。私たちもそこで待つことにした。ちなみにクーポラとは、イタリア語でドーム上の屋根のことを意味するらしい。
クーポラへの入り口は8時30分きっかりに開いた。入場料6ユーロ。私は、クーポラの展望台にはエレベーターで昇るものかと思っていたら、なんと全部階段だという。展望台にたどり着くまでには合計463段も登らなければならない。でもここまできたら登るしかない。
さすがに古い建物らしく、階段は壁の裏側に狭くて古いものがずっと続いていた。道は大変狭く、人一人しか通れない。皆1列になり、ひたすら登っていった。

途中で、階段は壁の裏側から、ドゥオーモの内側の壁に張りついた廊下みたいなところに出る。ここからはドゥオーモの内側を上から見下ろすかっこうになるのだ。下を見るとミサらしきものをやっていて、厳かな雰囲気である。うっかりおしゃべりをすると、天井が高い建物なので声が響くらしく、所々にいる係員のお姉さんに「シーっ」と厳しく注意れる。
その廊下を伝い、建物の内側を一周すると、また再び壁の裏にある階段に入る。そこからまたひたすら上を目指して登っていく。私は体力がないので、一気に登れない。途中で息がゼーゼーしてしまい、すみの方に寄って休み、後ろから来た人に先に行ってもらう。外国人の中にも私のような人もおり、途中で笑い合いながら登っていった。
途中で休んでいるとき、後ろからきたおそらく20歳前後と思われる白人の女の子が、私を見て「あなたは私より若いんだから頑張ってよ!」みたいなことを冗談で言ってきた。いやいや、私から見ればあなたのほうがずっと若いですから・・・、と内心私は思った。日本人の中でもどちらかというと幼く見える私は、彼女からみればかなり若く見えたのだろう。疲れていたし面倒臭かったので、訂正はしなかったが・・・。
そんなこんなで、休みながらだがやっとの思いでクーポラの長い長い階段を登りきった。いよいよてっぺんまでたどり着き展望台の外に出たとき、思わず息を飲んでしまった。そこには期待以上の素晴らしい眺めが広がっていたのだ。

フィレンツェのたぶん中心あたりにあるこの建物からは、眼下にフィレンツェの茶色の屋根の建物がずらーっと広がっている。フィレンツェの町並みを思い切り満喫できる場所だ。それに急な階段を登り、汗びっしょりだった体に風もとても気持ちいい。疲れも吹っ飛ぶというものだ。彼と2人で、今まで歩いたフィレンツェの建物や場所などを上から確認し、フィレンツェの地理を頭に入れたのだった。
しばらくそこで風景を楽しみ、体の疲れをとった。ふと気がつくと、クーポラからほど近いところに、青空市のようなものがあることに気がついた。「これは行ってみなければ」と展望台から下り、そこに向かうことにした。
帰りの階段は、登ってくる階段とは別の階段だが、やはりこちらも古くて狭い。かなり急な階段もあり、下るのが怖いくらいだ。途中でまたやはり、教会の内部の壁にはりついたような廊下に出た。この廊下は、登ってくるときに出た廊下よりも高いところにあるらしく、天井近くの壁に描かれた壁画に近い。その壁画は宗教的なもので、近くでみるとその迫力が怖いくらいだった。不謹慎かもしれないが、宗教画のため、薄気味悪いといった感じだ。

階段をくだりきり、外に出てくると入り口とは反対のところに出た。登る人と下る人が一緒にならないよう、うまく工夫されていた。展望台を登るときは、あまりの道の狭さにすれ違うだけでもさぞ大変なことになると思っていたのだが、当然この点は配慮されていたのであった。
出口からでると、私たちは展望台から見えた市の方へ向かうことにした。
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