「真実の口」からは近くにある“チルコ・マッシモ”というローマの遺跡を脇を通り、地下鉄の“チルコ・マッシモ駅”に向かった。この“チルコ・マッシモ”とは、ローマ時代最大の円形競技場跡なのである。馬の引く戦車による競走が行なわれていたという競技場、当時は30万人も収容したという。今では芝生の運動場といった広い空き地になっているが、その向こうにはパラティーノの丘が見え、美しい景色となっている。「ああ、時間があれば、ここにもゆっくり来たかった」というようなところであった。
とにかく、飛行機の時間が迫ってきているため、私たちは“チルコ・マッシモ”を横目に、足早に地下鉄の駅に向かった。そして無事に地下鉄の駅も見つかり、地下鉄に乗り込んだ。考えてみれば、イタリアに来て、長距離の移動を除けば始めての公共交通機関の利用だ。地下鉄がどんなもんだか見てみるのにはちょうどいい。危険な人たちでいっぱいだったらどうしよう、と少し不安になりながら、バッグを前にしっかり抱え込んで乗った。
車内に乗り込んでみると、けっこう混んではいたけど、観光客らしき人の姿も多く、明るくざわついた感じだ。ちょっとほっとした。チルコ・マッシモ駅からテルミニ駅は3つ目だった。特にトラブルもなく無事にテルミニ駅で降りることができた。
さすがテルミニ駅は大きな駅らしく、沢山の人が降りていった。そこからホテルに直行し、荷物を受け取り、テルミニ駅からまたレオナルド・エクスプレスを使って空港に向かうことにした。いよいよ私たちのイタリア旅行も終わりである。ローマの空はまだまだ明るい。この街、この雰囲気ともお別れかと思うと、なんとも寂しい。去りがたいといった気持ちだ。
レオナルド・エクスプレスから窓の外の風景を見ながら、この1週間を思い出していた。1週間は本当に飛ぶように過ぎていった。自分も学生の時そうであったように、日本人でも長期の海外旅行をしている人は多い。そのような人たちのことを考えると、本当にうらやましく、悔しささえ感じることもある。
でも、よくよく考えてみれば、毎年毎年、短期でも海外旅行できる自分の境遇は、なんて幸せなんだろうとも思う。しかも、もし長期で世界を旅したいのであれば、私も仕事をやめ、自分でその道を選べばいいのである。私たちは、自分の進む道を自由に選択できるし、やろうと思えば、必死で稼いでお金をためればできるのである。でも世界の国々では、このように、自由に世界を旅行できる人のほうが圧倒的に少ないのだ。だから、今の自分の境遇を嘆いたらいけないと思った。今の境遇は、自分で選んだことなのだから。
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